• テキストサイズ

【進撃の巨人】ジャン・キルシュタイン

第4章 適正試験






ミサキが知る地形には限りがある。



教官室

女子寮

広場

そして──……



なんとなく……



なんとなくだが、そこにミサキがいる予感がして、なんとなく歩き……



なんとなく、ミサキと出会った場所に進む。



昨日、俺達が通った道は、2人のシルシが付いたように、周りの雑草に、足で踏み付けた痕跡が残っていた。



松明なんか持っちゃいねぇから、月の明かりだけを頼る道。



別段、遠いってワケじゃねぇが、木の影に光が隠れると視界が真っ暗になる。



草むらを嗅ぎ分けていくと、広がる湖。



日中とは違い、静かに見えるそれの近くで、体育座りをしているミサキがいた。



月夜に照らされた湖と、ミサキの整った顔。



太陽に煌めいた先日とは違い、ミサキの遠くを見ている眼差しが、やけに優美に見えた。



ゴクリと息を飲んで、一歩ずつ近付く。



「おい、ミサキ。羽織くらいしねぇと風邪引いちまうぞ。」


こちらに気付いたミサキがゆっくりと振り返る。



『ありがと。でも、もう少しだけここにいたい。』



フワリ。

笑う顔は、幼くて……



俺は小さく息を吐いて、ミサキの隣に腰を下ろした。



『不思議だね。私、ジャンが見付けてくれたからここにいれるの。』



視線を湖に戻し、目を細めながら話すミサキ。



「そうだな。」



シャツだけしか上に着ていないミサキの肩に、俺は自分が着ていた羽織を被せた。



『私ね、他者から暴力や、その………恥辱された事しかなかったから、ここにいるみんなに出逢えて本当に良かった。だから、ね。……みんなを自由にする為に、強くなりたい…って決めたの。』




/ 68ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp