第4章 適正試験
コニーの嫌味を帯びた返答に肩を落とすエレン。
姿勢制御のコツ……?
それを俺がお前に教えて、何になんだよ。
それでお前が出来ちまったら、またミサキと肩を並べるのか?
冗談だろ。
………冗談じゃねぇ。
そんな事、させてたまるかよ。
「俺は逆に教えてほしいね。あんな無様な姿晒しておいて、正気を保ってられる秘訣とかをよぉ。」
………友達なんて…
テメーみたいな、死に急ぐようなやつとミサキが[お友達]になっちゃかなわねぇ。
さっさと開拓地へ帰れ。
「まぁまぁ。コニーとジャンの他にも、上手いって言われてたのは、あっちにいる二人だよ。名前は確か……ライナーとベルトルトだっけ?」
マルコがそう言うと、エレンは「分かった。ありがとよ。」と言い残し去っていった。
「二人とも、何もそんな邪険に扱う事ないじゃないか。」
呆れ顔でそう言うマルコに対し、吐かれた溜息は二つ。
綺麗に合わさったタイミングに、俺とコニーは互いの顔を見て、苦しく笑った。
そう言えば、ミサキは行きたい場所があるとかって話してたけど、教官室か?
………いや、違う。
教官と特別何か話している素ぶりはなかった。
適切試験にも問題はなかった。
「悪りぃ、ちょっと外出てくる。」
「え?どこへ行くんだい?外はもう暗くなっているよ?」
「……便所だよ。」
窓から外を見るマルコに、俺は短く答え、羽織を着るとまだ肌寒い外に出た。