第4章 適正試験
「何でミサキまで残ってんだよ?」
兵舎に戻りながらの道中。
怪訝そうな顔で聞くコニー。
「はぁ?そんなの知らねぇよ。エレンがミカサの連れだから付き合ってんだろ。」
コニーからの問いに、俺はぶっきらぼうに答えた。
どうせ明日には開拓地行きなんだから放っときゃいいのに。
「まぁまぁ。夕飯までには戻るって言ったんだろ?僕達もミサキも適正試験には合格したんだし、そんなに心配する事でもないよ。」
マルコがそう言って宥めると、コニーも「それもそうだな。」なんて言って話題は違う方へ。
俺は一人、苛立ちが治らない中黙って兵舎へ向かう。
……ったく。
まだよくも知らねぇ人間の為に、お人好しすぎなんだよ。
あのベルトを嵌めて逆さになる方がよっぽど難しいだろ。
あの場にミサキがいたところで、1日でなんとかなるようなもんじゃねぇと思うがな。
エレンの馬鹿に対し、イライラを募らせていたらいつの間にか日が落ちて来て、空は赤くなっていた。
兵舎のとある一室。
壁に背を預けてミサキを待つ俺の前には、これからの訓練を想像し、期待と不安の顔を見せるマルコとコニー。
二人の姿を横目に、入口扉を凝視する俺の視界にミサキの姿が映る。
声を掛けようと駆け寄ったが、ミカサと二人でエレンを担いでいるのが目に止まり、ギリっと奥歯を噛んでミサキに伸ばそうとしていた手を引っ込めた。
「おいおい。アルミン、テメー何女二人に担がせてんだよ。」
自分の眉間に深く皺が寄るのが分かる。
「えっと…その……。二人共聞かなくて……ごめん。」
アルミンに詰め寄り、睨み付ける俺の間に入るミサキ。
『ジャン?あ、待っててくれたんだよね??ごめんね、遅くなっちゃって。』