第4章 適正試験
[ジャンside]
まだ夕飯には少し早いが、適正試験は出来なかった者を明日に持ち越して今日は終わった。
多過ぎる人混み。
ミサキを見失っちまったから帰る連中の中を搔き分けるように探していると、ミカサと金髪の野郎、そしてエレンと4人で残って話していた。
「おい。ミサキ、そんなとこで何やってんだ。」
こちらに気付いたミサキが振り向く。
『あ、ジャン、先に行ってて。私、ミカサ達とエレンの練習に付き合うから。』
声を掛けた本人は、笑顔でそんなトボけた事を言いやがる。
はぁ!?
何で輪の中に入ってんだよ。
つーか、よりによってこいつの面倒事に付き合うなんて……
壁の外で巨人共と仲良くしてぇとか言ってたお気楽野郎だぞ?!
………ありえねぇ。
ミサキの肩には顔面蒼白なエレンの手。
「悪りぃな、ジャン。」
バツの悪そうな顔をするエレンに、胸の奥がムカムカする。
クソッ。
テメーが謝ってんじゃねーぞ。
悪いと思ってんならさっさと帰れ!
昨日、食堂であんな啖呵切ってたのに、とんだ能無し野郎で無様だな。
大人しく開拓地へ戻って芋掘りでも石拾いでもやってろっつー事だ。
どれだけ意思が強かろうが目的があろうが、生き残れるのは優秀な人間だけなんだよ。
『夕飯には間に合うようにするから、ジャンはコニー達と戻ってて。』
俺の心境なんか知る由もないミサキは、そんな事言って申し訳なさそうに笑う。
……んな顔されたら、引き下がるしかねぇじゃねーか。
クソッ。
「おーい!ジャン、行くぞー!」
離れたところから聞こえるコニーの声。
俺はエレンを睨みつつ、その場を後にした。