第6章 desire
智さんが起き上がり体勢が逆転した。
寝転がる俺の上を覆うように、智さんが両腕を俺の顔の横に着いた…
そのまま智さんの顔が近づいてくる。
唇を啄むようなキスを繰り返す…寝転がったままされるキスは初めてで、いつもと違うシチュエーションってだけでドキドキが大きくなる…
繰り返されるキスで気持ち良くなってきたのに、智さんは夕べのような激しいキスをしてこない…
「ん、んん…」
昨日のキスを思い出して体が熱くなってきたところで、智さんが離れていった…なんで?
智さんの手が頬を撫でる…
「やっぱりそそられる…その表情…」
智さんは俺を見下ろしたまま、頬を撫で続ける…
俺は我慢できずに、智さんの首に手を回した。
「智さん…もっと…」
「もっと何?」
「…キス、して…」
そう言うと智さんは微笑んだ
「お前はいつでも素直だな…」
「…駄目、ですか?」
「いいや、すっげぇ可愛い…」
再び唇を塞がれると、今度はいきなり舌を差し込まれ、容赦なく咥内を動き回る。
「ふっん…んん、」
智さんの手が俺のシャツの裾から入り込んできた時、俺の電話の着信がなった…
それなのに智さんはキスを止めない。
「んん~」
首を横に振り、智さんのキスから逃げようとしても智さんが離してくれない…
「ん~んっ、んん、」
漸く唇が解放されたと思ったら、今度は首筋にキスをしてきた。
「あっん、智さん、電話…なって、る…」
「いいよ、ほっとけば…」
尚も首筋にキスを続ける智さん…
「でも、雅紀だったらここまで来る…」
そう言うと、やっと体を起こして離れてくれた。
智さんはベッドから降り、俺のスマホを持って戻って来た
「正解」
スマホの画面を俺に向けた。
「もしもし…」
『もしもし?翔ちゃん?まだ寝てた?
泊めて貰ったお礼に、朝ごはん作ったから一緒に食べようよ』
「分かった、ありがとう…今から行くね」
通話を切って智さんを見ると、不機嫌そうな顔…
「相葉、なんだって?」
「泊めてくれたお礼にご飯作ったから、一緒に食べようって」
「はぁ~、変に気が利くな…しゃあない、行くか」
そう言うと俺に手を差し出した。