第6章 desire
翌朝起きると、智さんの腕の中。
夕べ智さんが『一緒に寝ようか…』って言ってくれたから、喜んで智さんの布団に潜り込んだ。
でも実際、智さんの横に並んだら、ドキドキとむずむずが始まってなかなか眠りに就けなかった。
ドキドキは分かる。でもむずむずの原因が分からない…俺の体、どこか悪いのかな…
「おはよ、翔…目覚めた?」
目線を上げると智さんと目が合う。
「おはようございます。智さん、起きてたんですか?」
「うん、30分位前に目が覚めたんだけど、翔が気持ち良さそうに寝てたから、寝顔見てた」
「え?30分も?起こしてくれれば良かったのに」
「急ぐ必要ないだろ?今日も休みなんだから、たまにはゆっくりしよう」
「あ、でも雅紀たちに朝ごはん用意しないと」
起き上がると智さんに腕を掴まれた。
「そんなこと気にしなくて大丈夫だよ。何かあれば連絡来るだろ?」
「それはそうですけど…うわっ」
掴まれてた腕を引かれ、そのまま智さんの胸に飛び込んだ。
「もう少しこのままいようよ…」
抱きしめられ耳元で囁かれる…
また始まるむずむず…なんで?
一昨日からむずむずの頻度が増えてる。
やっぱりどこかおかしいのかな…でも智さんに心配かけたくないし。暫く様子観てみよう…
智さんの胸の上に頭を乗せ目を閉じた。
智さんの心音が聞こえる…このリズム早くない?
「智さん、脈早くないですか?」
「ははっ、そりゃしゃあないだろ…翔のこと抱いてるんだから」
智さんも、ドキドキするんだ…いつも余裕そうに見えるのに。
「ふふっ、一緒なんだ…」
「なにが?」
「ドキドキするの俺だけかと思ってました」
「そんな訳ないだろ…いつだって翔にドキドキさせられてるよ」
そう言った智さんの眼差しが、夕べの眼差しに変わった。