第6章 desire
ふたりをリビングに案内すると
「部屋の作りは智の部屋と一緒だね」
「そうですね、階が違うだけで位置的には一緒ですから」
「ねぇ、翔ちゃん他の部屋も見ていい?」
「いいよ、大体片付け終わったし」
智さんと二宮さんを残し雅紀に家の中を案内した。
「え~、翔ちゃんのベッド、ダブルじゃないの?」
「セミダブルだけどなんで?ひとりで寝るなら十分でしょ?」
「ひとりで?大野さんどこで寝るの?」
「智さん?智さんは自分の部屋で寝るでしょ?」
「自分の部屋って上の階の?」
「そうだよ」
「え、お泊まりとかしないの?」
「もう必要ないでしょ?こんなに近くに住んでるんだから」
「ちょっと待って翔ちゃん、今まで大野さんの部屋に泊まったことあるんだよね?」
「あるよ、昨日も泊めて貰ったし」
雅紀がちょっと驚いたような顔をする。何かおかしい?
「その時って一緒に寝ないの?」
「一緒に?タイミング的には一緒だけど寝る場所は別々だよ?」
雅紀が更に驚いた顔をした。
「マジか…和さんが言ってた意味わかったわ…」
「え、なに?何かおかしい?」
「あ、ううん、おかしくないよ?翔ちゃんらしいなって思っただけだから」
「俺らしいってなんだよ…」
「相変わらず可愛いなぁ、って」
「ふふっ」って雅紀が笑った。可愛いってなんだ?
リビングに戻る途中で二宮さんの笑い声が聞こえた。
「あははははっ、翔ちゃん可愛い~、ほんと育て甲斐あるねぇ」
「うるせっ、他人事だと思って」
「あの…俺なにかしました?」
声を掛けたら二宮さんが振り返って
「あ~、翔ちゃん何でもないよ?それよりお皿借りていい?ご飯にしよ」
「今、持ってきますね」
キッチンで食器の用意をしていたら今度は雅紀と二宮さんの笑い声…楽しそうなのはいいんだけど…
「マジで?流石翔ちゃん…大野さん頑張ってくださいね?」
「お前ら絶対楽しんでるだろ…」
「そりゃあねぇ…今時いないでしょ?こんな貴重な生き物、どう成長するのか楽しみだよ」
やっぱり話題は俺のことか…俺、どこか変?