第6章 desire

「あ～もうどんだけ甘々なのよ」

「でも俺安心かも…やっと翔ちゃん護ってくれる人が出来て」

「確かにねぇ…どんな育ち方したらこんな純粋な生き物が育つんだろ」

「お前ら、ほんとにもう余計なこと言わなくていいから」

「智も育て甲斐あるよねぇ」

なに『育て甲斐』って？確かに智さんに比べればまだまだだけど…
俺、そんなに智さんに迷惑かけてるのかな…

「ニノっ！」

「は～い、もう黙りま～す」

二宮さんは悪びれもせず、席に戻っていった。

「智さん、俺そんなに駄目ですか？」

「なにが？」

「だって、二宮さんが育て甲斐があるって…
まだまだ未熟なのは分かってますけど、そんなに智さんに迷惑かけてますか？」

「あ～、今あいつらが言ったことは気にしなくていいから」

「でも…」

「だからそんな顔するなって…ニノが言ったのは、仕事の事じゃないから」

「仕事のことじゃない？」

じゃあ何のこと？
俺の様子を見て、苦笑いした智さんが近づいてきて、小さな声で教えてくれた。

「あいつら、俺たちのこと知ってるから」

「えっ？」

俺たちのことって、俺と智さんが付き合ってるってこと？なんで？いつから？

「あいつら、そういうの鋭いから…特にニノな」

「あ、そ、うなん、です、ね」

動揺が隠せない…ふたりに知られてたなんて…
でも、恥ずかしいけど、嬉しいかも…

智さんとの関係を知っても、今まで通りに接してくれてたんだ。

雅紀は分かる…あいつ自身、同性も恋愛対象になるやつだから…でも二宮さんまで変わらずいてくれたんだ。

「ごめんな？もう少し早く教えておけば良かったな」

黙りこんだ俺を見て、智さんが申し訳なさそうな顔をした。

「いえ、大丈夫です…ちょっとびっくりしただけなので」

「そうか、なら良かった」

智さんがほっとした表情を見せた。