第35章 sweet
俺の躰を撫でていた智さんの手がピタッと止まり、唇が離れていく。
「はぁ…はぁ…さ、とし、さん?」
なんで?
「なぁ、翔…」
「は、い…」
「今日は俺の誕生日じゃん?」
「そ、うですけど?」
「だからさ、今日はお前が全部してよ」
「えっ⁉全部?全部って…」
驚いて思わず起き上がった。落ちていた思考力が一気に覚醒する。
「ん?全部は全部。俺、何も手を出さないで寝転がってるから、お前が俺のモノを自分で挿れられるようにするの」
「やっ!そんなの無理です!」
首を振って断った。
だって後ろも自分で解すってことでしょ?そんなことしたことないし、しかもそれを智さんが見てるなんて…そんなの恥ずかしくて出来ないよ…
「しょ~お?」
俯いた俺を、智さんが優しい声で呼ぶから、視線だけを上げて智さんを見た。
「俺の誕生日、祝ってくれないの?」
「…お祝いは昨日からしてます…」
「ん~、でも、翔がしてくれたら最高に嬉しいプレゼントなんだけどなぁ」
そう言われたら断れないの知ってるくせに…俺が智さんの喜ぶことを断われる訳ないのに…
大きく深呼吸をし顔をあげた。
「わかりました…智さんが喜んでくれるなら…します」
「ありがと、翔。じゃあよろしく」
智さんは嬉しそうにそう言うと、チュッとキスをしてベッドに横になった。