第35章 sweet
「やっほ~」
「やっほ~、じゃねぇよ…」
「大野さん、夕食終わりました?今日は翔ちゃんが作るってはりきってましたけど」
「あぁ…さっき終ったよ」
「じゃあ丁度良いタイミングだったね」
3人の話し声が近付いてきた。
「こんばんは、翔ちゃん」
「いらっしゃい。二宮さん、雅紀」
そう出迎えた俺を二宮さんは抱きしめた。
「ごめんねぇ~、翔ちゃん。邪魔しちゃったね」
「えっ?えっ?」
「ニノ、離せ…」
二宮さんの襟首を掴んだ智さんが引き剥がすように後ろに引いた。
「ひどっ!翔ちゃんに謝っただけじゃん」
「悪いと思うんならとっとと帰れ」
「智さん、折角お祝いに来てくれたのに、そんな言い方しなくても…」
「だよねぇ~、もとはと言えば智が早々に翔ちゃん食べようとしたのが悪いのにねぇ~」
「えっ⁉」
なんでバレてるの?
「あのな、翔…今のお前、超甘そうなの…」
「えっ…甘そう?」
「うん。瞳が潤んじゃってるし、顔から首筋に掛けてほんのりピンクに染まってる」
「あ…」
だって、智さんと途中だったし…こんな短時間じゃ躰の疼きなんて治められないよ…
「翔ちゃんがこんな状態じゃ大野さんもキツいんじゃないですか?」
二宮さんに比べ、若干申し訳なさそうな顔をする雅紀。
「そう思うならせめて連絡してから来てくれよ…」
「え~、突撃訪問だから面白いんじゃん。俺としてはこっちの方が楽しいけど?」
「ほんとお前は悪魔だな…今度はこっちから押し掛けてやる」
「俺たちはいつでも良いですよ?ね?カズさん。なんだったらおふたりの前でシテもいいし」
「ばっ!お、まっ…そんなのするわけないだろ⁉」
顔を真っ赤に染めた二宮さんを雅紀がニコニコと見つめてる。
「ほぉ…そりゃ見てみてぇな」
ニヤニヤと笑う智さん。
「だから!しないってばっ!」
初めてかも、二宮さんがこんなに焦った姿。こんなに焦るなんて…雅紀、普段二宮さんにどんなことしてるの?二宮さん、前に雅紀が変なこと要求するときあるって言ってたし…なんだか聞いてるこっちが恥ずかしくなってきた。