第35章 sweet
「さとし、さ、ん…」
「ん?」
「手…やだ…」
「手ってこれ?」
「あぁっ!」
胸の先を軽く摘ままれ、ビリっと電気が走る。
「ふふっ…『やだ』って感じには見えないけどなぁ」
耳元で笑われ、また息が掛かった。俺の腰の辺りが疼き始める。
「もぉ、やぁ…」
半分泣きが入って漸く智さんの手が止まった。
「ごめんな…翔が昨日から可愛いことばっかりしてくれるから、待ちきれなくなっちゃった」
そう言って俺の頬にチュッとキスをした。
「智さん…」
智さんの方を向くと今度は唇にそっとキスをしてくれた。
軽く触れただけのキスなのに、躰が疼き始めてしまった俺には十分に甘くて…
離れてしまった智さんの顔を見ていたら、智さんが優しく微笑んだ。
「ほんと、可愛すぎ」
再び近付いてきた智さんの顔…俺は瞼を閉じて智さんの唇が触れるのを待った。
「んっ…」
甘い甘い智さんからのキス…どんなスイーツよりも甘くて、心も躰もとろとろに蕩けていく。
そのまま床に寝かされて、智さんの手が俺のシャツを捲りあげたとき、部屋の中にインターフォンの音が鳴り響いた。
『ピンポーン』
「「えっ?」」
ふたりで顔を見合わせ驚きの声。こんな時間に誰?
『ピンポーン ピンポーン ピンポーン』
鳴り続けるチャイムに、仕方なしといった感じで智さんが立ち上がった。
モニターを覗いた智さんが、明らかに肩を落とした。
「またお前らか…」
『智~、ハッピーバースデー!』
『ケーキ買ってきました~。四人で食べましょ?』
こうなるとどうにもならないと身を持ってわかっている智さんは、大人しく玄関へと向かった。