第34章 10年越しの告白
「それはそうだけどさ、俺が途中で諦めるとか思わなかったの?」
「そしたらそれまでかなって思ってたし…
俺だっていつお前が追ってこなくなるか心配はしてたんだよ?」
「だからもう少し早く言ってくれれば…」
「だって、何て言っていいかわからなかったし…」
「普通に『俺も好き』で良くない?」
「でも言った途端『興味無くなった』とか言われたらやだし…」
この人、どんだけ慎重なんだよ…
別にいいんだけどね、なんだかんだ言ってもこうして翔さんを手に入れることが出来て幸せだからさ。
それでもこの10年追い続けたご褒美は貰って良いよね。
「翔さん、あとどれくらいで資料作り終わるの?」
「え?あと1時間もあれば終わると思うけど」
「じゃあ、メシ食ってとっとと終わらせて」
「うん、わかった…」
翔さんが慌てて残りのパスタを口に入れた。
「翔さん、今日って何の日だかわかってる?」
モグモグしながら首を傾げる翔さん。
「わかってないんだ…」
いつもより低音の俺の声に何かを察知したのか不安そうな瞳で俺を見る。
「今日はね、俺がはじめて翔さんに告白した日なんだよ?だから今日でちょうど10年経ったってわけ…」
「あっ!ごめんっ、忘れてた」
「ここんとこ仕事忙しかったもんね?しょうがないよ…でもさ、聞かせてもらうよ?10年分の告白の返事。
ベッドの上でた~っぷりとね?」
ニコッと笑うと翔さんの顔が少しひきつった。