第5章 rival
「はっ?なんで?!」
松岡さんが驚いた。
「俺の好きな人には他に好きな人がいるから…」
松岡さんが驚いた顔して俺を見た。
「嘘だろ…だってどう見たって…」
櫻井は俯いたまま首を横に振った
「前に本人から直接聞きました…」
「ちょっと待て…納得できねぇ…どういうことだ?!」
松岡さんが俺に詰め寄って襟元をつかんだ。
「えっ、俺っ?!」
「お前以外に誰がいるんだよ!」
「止めて、松岡さん!」
櫻井が慌てて止めに入った。
「他に好きな人がいるってなんだよ!」
櫻井が押さえても松岡さんの勢いが止まることはない。
「だから!なんで俺なんですかっ!」
そう言うと、やっと松岡さんの手が弛んだ。
「ちょっと待て…お前らこの状況でまだ分かってないのか?」
松岡さんは俺と櫻井の顔を交互に見た。
俺と櫻井は顔を見合わせたが、お互い何のことやらといった感じだった。
「はぁ~…翔は分かってたけど、あんたも相当な鈍さだな…」
松岡さんはもはや、呆れきった顔をしていた。
「翔のことを可哀想だと思ったのは初めてだよ…」
櫻井が可哀想?好きな人に、他に好きな人がいるから?
だったら俺もだろ…櫻井に好きな人がいるって事を知らされたんだ。
松岡さんは俺が櫻井を好きだと気づいてる、だったら条件は同じじゃないか…
「あのさぁ、俺がお前らの事にあんま首突っ込むのもどうかと思うんだけど、なんでこんなにズレが生じてるのかスッゲー気になんだよね…」
「ズレ?」
櫻井を見ると櫻井も首を傾げてた。
「そう…だからハッキリさせてくんね?このままじゃ気になって眠れねぇよ…
翔が幸せになれないって、なんでだよ」