第33章 シルキー
「カズさんって普段何してるの?週2日しか働かないんじゃ生活出来ないでしょ?」
「カズくんは週1、2回会社に出勤してるんですけど、基本は在宅でプログラミングの仕事してるんです。
だから店番しながら自分の仕事もこなしてます」
「へぇ、凄いね」
「カズくんにはほんと助けられてます。商品のことちゃんと勉強して接客してくれるので安心して任せられるんですよ。
それなのに給料は学生のバイト代並に安くて良いからって」
「なんでそんなにしてくれるの?」
「カズくんって色白いでしょ?」
「うん。真っ白だね」
「ああいう肌って羨ましくもあるんですけど、陽に当たると火傷したみたいに真っ赤になる人もいるんです。
カズくんの場合もそうで、陽に当たった後のケアが大変なんですよね。
で、ネットで家の店を知って常連になってくれて。頻繁に来てくれてたらたまたま遊びに来た潤と出逢ってすぐに意気投合。
その出逢いをくれたお礼も込めて手伝うって申し出てくれたんです」
「カズさんって潤くんのこと大好きなんだね」
「そうですね。『色白は七難隠すから潤くんの為に色白をキープするんだ』ってここで商品の勉強しながら肌ケア頑張ってるんですよ。可愛いですよね」
「七難隠す?なにそれ?」
「肌の色が白いと多少欠点があっても補ってくれて美しく見える、っていう意味のことわざです」
「へぇ、初めて知った…でも櫻井さんは難が無いから更に美しいってことだね」
「えっ…」
顔を真っ赤にした櫻井さんを見て俺は自分が恥ずかしいことを言ってることに気がついた。
恥ずかしくて俺の顔も熱くなる。
「あっ…えと、ちょっとキザだった?思ったことつい口走っちゃったんだけど…ごめん」
「いえっ、キザだなんて…ただそんな風に思ってくれてるなんて…嬉しいです…」