第33章 シルキー
その人物はジロジロと品定めするように俺の様子を見てる。
「見た目は悪くないね…ちょっと背が低いけど」
悪かったな低くて…そう言うあんただって俺と変わらないだろ。って言おうと思ったけど止めといた。
この人を敵に回しちゃいけないと野生の勘が働いたから。
「チャラついた感じもないし…チャレンジャーとしては合格かな」
「チャレンジャー?何それ?」
「そのまんまの意味だけど?
翔さんって仕事人間だし、こういったことに対して激ニブなの。
だから俺が目を光らせておいて男女問わず変な奴らから翔さんを守ってるって訳。俺のお眼鏡にかなわない人間は即刻排除」
ニコッと笑ったその笑顔は可愛いのに何故か背筋がゾクリとした。
「まぁ、排除されなくても翔さんを落とした人間なんて存在しないんだけどね」
「え?それってどういう…?」
「さっきも言ったけど仕事が大好きだから今のところ恋愛にまで気が回らないらしいよ。
それはそれでこちらとしても心配だから、いい相手がいると紹介しようとするんだけど『忙しいからまた今度』って全部断るんだもん」
「全部?一回も紹介に応じたことないの?」
「ないね。折角の美肌持っててもさぁ、勿体ないんだよねぇ。宝の持ち腐れだよ」
「宝の持ち腐れって…」
「あんた肌が綺麗な人抱いたことある?」
「今までそんなの気にしたことないからわかんないよ」
「わからないってことは無いってことだよ。
あの肌抱いたら気持ち良くて忘れられないから」
「え…まさかキミ、経験あるの?」
「俺?ないよ。でも俺も彼から言われるから」
「何を?」
「お前のこと抱いちゃったら他の奴抱けないって」
今、サラッと言ったけど『彼』って言ったよな?しかも抱けないって…
「キミの恋人って、男?」
「そうだけど何か?」
「いや、別に…」
「俺も大変なのよ、彼の為にこの肌キープするの。だからこの店手伝って常にいい商品をゲットしてんの」