第33章 シルキー
「あ、あの…それで、どうされます?クリーム…」
「買います」
彼に聞かれ即答した。
「え、でもまだ触ってないですよね?使い心地確認しなくていいんですか?」
彼が少し驚いた顔をする。
「あなたのことを信じておすすめ品使ってみる」
「ふふっ、まだ出会ったばかりなのにそんなに信用してして大丈夫ですか?
大野さんてもしかして騙されやすい人?」
「あなたは人を騙す人?」
「いいえ、そんなことは…」
「だったらその言葉信じる」
今度は目を見開き俺を凝視したあとふっと表情を和らげた。
「そんなこと言ってたら簡単に騙されちゃいますよ?」
「大丈夫…あなたにだけだからこんなこと言うの」
「えっ?」
「あなたの言うことだから信じる」
俺はニコッと笑った。
「あ、え、と…ありがとうございます…信用していただいて」
彼の頬が薄ピンクになった。
「それじゃご用意しますね、ちょっとお待ちください」
彼は品物を手に取りカウンターへ向かった。
俺はその間他の商品を眺めてた。
店内にはボディークリームだけじゃなく、ローションやオイル、リップクリームなんかも置いてあった。
そういえば彼の唇も潤ってたな…
リップクリームを眺めていたら彼が気がついて声を掛けてきた。
「リップクリームも気になりますか?」
「うん、ちょっとね…あなたの唇がツヤツヤしてるから何か使ってるのかな、って」
「そのリップ使ってます。ウチのイチオシ商品ですよ?」
これ使ってるんだ…
「これを使うとあなたみたいにプルプルで魅力的な唇になれるんだ」