第33章 シルキー
「すみません、肌を触らせていただいてよろしいですか?」
「あ、はい…」
彼に向けて腕を伸ばした。
「失礼します」
彼は一歩前に歩み寄り俺の腕を手に取った。
そうすると目の前に彼のスベスベの肌が…
触りてぇ…
俺がそんなことを考えてるとは爪の先程にも思っていないであろう彼は真剣な表情で俺の腕を観察する。
次に手を這わせ、撫でたり軽く押したりした。
彼が動きを止め顔をあげると目が合ってドキッとした。
そりゃそうか、ずっと彼のことを見つめてたんだから、彼が俺を見れば目が合うのは当然なんだけど綺麗な二重瞼の大きな目に超至近距離で見つめられると心臓がドキドキを越えバクバクしてきた。
「ありがとうございました」
「へ…」
ニコッと笑いお礼を言われなんの事やらと、間抜けな返事をしてしまった。
「ふふっ…肌、触らせていただいてありがとうございました」
「あぁ、はい…」
彼の手が俺の腕から離れて行ってしまった…残念。
「大野さん、綺麗で丈夫な肌されてますね、羨ましい」
「そうなんだ…そんなこと気にした事なかった」
「それだけ綺麗な肌されてたら保湿とかあまり必要ないですね」
えっ、ってことは購入出来るクリームがない?
せっかく常連になってまた来ようと思ってたのに。
彼はカウンターの中に入ると何やら手にして戻ってきた。
「これくらいで十分かな…」
彼は手に持っているクリームの蓋を開けた。
「少しお塗りしてよろしいですか?」
「あ、うん。お願いします」