第33章 シルキー
「今は綺麗な肌してる」
服から覗く素肌はどこもかしこも白くて滑らかに見える。
「ありがとうございます」
彼は嬉しそうに笑った。
「アトピーまでなってしまうと薬とか使わないと痒みを押さえきれませんけど、そうではない方でも乾燥肌の方っていらっしゃるでしょ?
そういう方たちも冬から春にかけて肌荒れが酷くて苦労されてる方が多くいらっしゃるんですよ。
そういった方たちに、薬品ではなくオーガニックな物を使って痒みから解放してあげたいなって思って始めたんです」
「自分の経験からなんだ」
「ええ…今も乾燥肌なんで自分の為でもあったりするんですけど」
「それでも人を苦しみから救おうと考えたんでしょ?凄いことだよ」
「苦しみから救うなんてそんな大袈裟な…」
はにかむ表情もまた可愛らしい。
「素敵だ…」
「えっ?」
「あっ!いやっ、素敵なことだなって…」
やべぇ、心の声が漏れてた。
彼の考えは勿論だけど、それよりも彼の笑顔が素敵だと思ってしまった。
「同世代の男性にそんな風に言っていただくの初めてです。
周りの友人からもあまり理解されなくて。肌に気を使う男性なんて極僅かですから。
女性の方たちには大変ご好評いただいてるんですけどね。
もっと男性の方にも使っていただけると嬉しいんですけど…結構男性の方に乾燥肌って多いんですよ」
そうだよなぁ、俺も全くと言っていいほど気にしてないし。
「あの…俺にも使えそうなのあるかな?」
「え?大野さんがですか?」
少し驚きの表情を見せた。
「可笑しい?」
「いいえ、全然…」
優しく微笑みかけてくれる彼に胸がドキドキする。