第32章 麗しのキミ
数日後、取材の様子見も兼ねて翔さんが智さんのアトリエに訪れた。
「ほぉ~今回の作品はまた一段とエネルギーがみなぎってるな」
智さんが先日描きあげた作品を観て翔さんが感心した。
「これだけの作品仕上げたのに俺に連絡よこさなかったんだ?」
翔さんがニヤリと笑って智さんと俺を見た。
「あ、うん…」
「それはそれは…おめでとう、って言っていいのかな?」
智さんは頬をピンクに染めると俺の方をチラッと見た。
だから俺は智さんの肩を抱き寄せ微笑んだ後、翔さんを見た。
「うん。智さんのことは俺に任せて」
翔さんは俺に向かって頷くと智さんに嬉しそうに微笑んだ。
「良かったな、智…漸く相手が見つかって」
「うん…今までありがとね、翔ちゃん」
「いや、でもこれでひと安心だよ…智のことだから死ぬまでひとりでいるんじゃないかと心配だったんだ」
「ふふっ…その時は翔ちゃんが傍に居てくれたでしょ?」
「ん~、まぁ…家族みたいなもんだからな智は」
「でもさぁ翔さん、智さんのこと甘やかし過ぎじゃね?いくら熱を冷ますためとはいえ恋人がいるのに智さんのこと抱いてたんだろ?恋人に知られたら怒られんじゃないの?」
「そんなことで怒らないよ、それに知ってるし」
「へ?相手の人、知ってるの?」
「当たり前だろ?そんなこと黙って出来ないよ。
それにアイツと知り合うよりも前から智のこと抱いてたし、もしそれを受け入れられないような相手なら俺も付き合わないって」