第32章 麗しのキミ
「熱を冷まして、更に熱を与える…『大野智』の作品に俺が必要ってこと?」
「そうだよ?潤が僕のことを愛してくれればくれるほど僕の中の創作力は上がっていく」
「俺の愛が『大野智』の作品を作り上げるってことか…なんか責任重大だな」
「そんな風に思わなくていいよ…もし、潤が僕のこと好きじゃなくなったらその時は僕のこと捨ててくれていい…負担を感じながら愛して欲しくないし」
そういいつつも智さんの瞳は寂しそう…俺は智さんをぎゅっと抱きしめた。
「潤?」
「そんなこと言わないでよ…智さんが俺を好きでいてくれたってわかったばかりなのに、俺が智さんを捨てるなんてそんな哀しいこと言わないで。
俺、好きなものに対しては情熱家なんでしょ?それに俺結構しつこいよ?」
不安そうな顔をする智さんにニコッと笑いかけた。
「ほんとにいいの?こんな僕で…」
「『こんな僕』だから惹かれたんだよ…こんなに魅力的な人、他に居ないよ」
智さんの腕が俺を抱きしめた。
「ありがとう、潤…大好きだよ」
「こちらこそありがとう…大勢の人間の中から俺を選んでくれて」
「潤…」
智さんの潤んだ瞳が俺を見上げる。
俺は智さんの顎に手を添え上を向かせた。
「もっと熱くしていい?」
「うん…もっともっと…潤の熱で僕のこと溶けるくらい熱くして…」
智さんとの激しいキスの後、それ以上に激しく身体の熱を交わしあった。