第5章 rival
「大野さん、釣りっていつ連れてってくれるんですか?」
「いつでもいいよ、季節的にも丁度いいし
初心者だと真冬とか厳しいだろ?」
「そうですね、真冬の海は無理かも」
「道具もさ全部レンタル出来るし、手ぶらで行けるよ」
「そうなんですね?色々準備が必要だと思ったから、いつ行くのか聞いたんですけど」
「ははっ…続けるか分からないのに、道具一式買ったら勿体ないよ」
「聞いといて良かった」
「櫻井の都合に合わせるから、都合のいい日決めといて」
「じゃあ来週」
「え?」
即答されて驚いた…そんなに釣りに行きたいの?
「来週でもいいですか?」
「あ、うん、いいよ。あ、でもさ釣りって朝早い方がいいんだけど…」
「何時でも大丈夫です」
躊躇いなく笑顔で返事する…ん~、そんなに楽しみなのか…まぁ俺も楽しみだけど。
「じゃあさ、前の日家に泊まれよ。櫻井ん家から出てくるより、少しだけゆっくりできるだろ?」
「いいんですか?」
そんな嬉しそうな顔するなって…そんな可愛い顔されたら、誘った事を後悔しそうだ…
夜眠れるかな…でももう言っちゃったしな…
「うん…いいよ」
「ありがとうございます」
にっこにこの櫻井を見て、若干後悔しはじめた…
「…あの~、大野さん…」
「なに?」
「もうひとつ、お願いしたいことがあるんですけど…」
「お願い?なに?」
釣りなんてお願いの内に入らないけど…なんだ?櫻井が人に頼み事なんて珍しい。
「えっと…」
なんだか言いづらそうだな…面倒な事なのか?だったら役に立ってやりたいな。
「いいから言えよ。出来ることならなんでもやるから」
「いえ…やるとかじゃないんです…」
俯いてしまった櫻井…そんなに言いづらいのか?
「じゃあなに?」
ちょっと心配になってきた。