第31章 future of hope
雅紀が差し出す指輪を見つめ動けずにいた。
今の話からするとこれって結婚指輪ってことなんだよね?
ほんとに俺でいいの?俺を選んで雅紀は後悔しない?
「カズさん?」
雅紀に呼ばれ顔をあげると不安そうな表情をする雅紀と目が合った。
「駄目かな?カズさんはそこまで俺とのことを考えてなかった?」
考えない訳ないじゃん…雅紀とずっと一緒に居たいと思ってるのは俺の方。
雅紀だったらいくらでも違う相手見つけられる。
それこそ雅紀が望めば女性と結婚して子供だって…それなのに俺なんかでいいの?
「俺はカズさんがいいんだよ?」
ふっ、と笑顔を見せる雅紀。
「な、にも、い、てな、じゃん…」
雅紀の手が俺の頬に触れそっと親指を動かすと雅紀の指が濡れた。
「言わなくてもカズさんの考えてることなんてわかるよ…強気なふりして誰よりも繊細なんだから」
「ふっ、ぅっ…」
「カズさんのことちゃんと理解できるのなんて俺ぐらいでしょ…」
そうだよ…ほんとは涙が出るくらい嬉しくて仕方ないのに、素直に嬉しいって言えない…
こんな可愛くない俺のことを性格も含め可愛いって言ってくれるのは雅紀だけ。
「ま、さっ…」
雅紀のシャツをぎゅっと握ると雅紀はそっと抱きしめてくれた。
「カズさん、受け取ってくれるでしょ?この指輪…」
雅紀の腕の中で俺は小さく首を縦に振った。
「ありがと、カズさん…愛してるよ」
「…うん、俺も…」
顔をあげそう言うと嬉しそうな雅紀の笑顔と優しいキスが降ってきた。