第31章 future of hope
雅紀が苦笑いをする…今のってどういうこと?
「あ~もぉ、言っちゃったじゃん、もっとかっこ良くキメたかったのに…カズさんがわかってくれないから」
雅紀はベッドの方に歩いて行くとサイドテーブルの引き出しから小さな紙袋を取り出し、手にして戻ってきた。
「その紙袋…」
あの時雅紀が受け取ったもの…
「あの子、ジュエリーショップで働いてんの」
紙袋の中に手を入れそれを取り出す。
「翔ちゃんに話聞いた時にね、俺もどうしても渡したくなった」
「え?」
雅紀が手に乗せた小さなケースを開くと中にはふたつ並んだシルバーリング。
「え…な、に…」
「俺の嫁さんになってください」
「は?え?う、そ…だろ?」
「俺は本気だよ?」
「なんで…」
突然の雅紀からプロポーズ…なんだ、よな?
「なんでって言われても、昨日も話したでしょ?
カズさんの家に住みついた時から俺としては一生を添い遂げるつもりでいたんだ、でもちゃんと言葉にはしてなかった。
カズさんが拒否しないで俺のこと置いておいてくれたからカズさん的にもそういう気持ちでいてくれてるかな、って思ってたんだ。
でもさ、それって俺の勝手な思い込みなんだよね…言葉にしないと駄目なんだなって、翔ちゃんと話しててわかったよ」
「翔ちゃんと話をして?」
「うん、大野さんから指輪貰ったって話す翔ちゃんが今日と同じで凄くキラキラして綺麗だったんだ。
あんなに大野さんから想われてて、翔ちゃんもちゃんとその事わかってるのに、それでも形にして貰えて嬉しかったって。
だから俺もちゃんと言葉にして伝えなきゃいけないって思った。
何となく同棲始めて何となく一緒に居ちゃ駄目なんだって。
だから受け取ってくれませんか?この指輪」