第31章 future of hope
ふたりと別れ予約してあるホテルに向かった。
「お腹すいたでしょ?先にレストランで食事していこうね」
「そう言えば遅めの朝食だけしか食べてないね今日」
「翔ちゃんと大野さんの幸せな姿見て胸はいっぱいになったけどね?」
「ははっ、確かに…それにしても翔ちゃんほんと綺麗だったなぁ」
「それでもね、翔ちゃんを嫁に貰うのは駄目だよ?」
「わかってるよ、そんなことしたら智に殺される。ってかその前に翔ちゃんが嫁に来てくれないでしょ」
「ん~そういうことじゃないんだけど…」
「え、どういうこと?」
「あ、着いたよ。カズさん」
雅紀の答えを聞く前にホテルに着いてしまった。
タクシーを降り雅紀のエスコートでホテルに入っていく。
チェックインだけ済ませエレベーターでレストランのある階まで上がった。
夕暮れ時、一面ガラス張りの窓の向こうにはオレンジ色に染まった東京が一望できた。
「絶景だなぁ…」
「この時間にして正解だった」
ウェイターに席まで案内され椅子を引かれる。
こんな所ならこのドレス着てても場違いじゃないか。
「カズさん、何食べる?」
「ん~雅紀に任せる」
「オッケー」
雅紀がコース料理とシャンパンを頼むと運ばれてきた美しい料理。
「それじゃ、一日早いけど誕生日おめでとうカズさん」
「ありがとう」
シャンパングラスを軽く合わせひとくち含むと酒に強くない俺でも美味しいと感じるシャンパン。
「美味しい…」
「良かった、気に入って貰えた?」
「うん、飲みやすい」
「余り飲みすぎないでね?夜は長いから…」
爽やかな笑顔で意味深なセリフを吐く。今日は朝までコースかなぁ…