第31章 future of hope
遅めの朝食を摂り部屋の掃除や洗濯を終えアイスコーヒーを飲みながらひと休み。
雅紀が飲み終えたグラスを手に取ると立ち上がった。
「片付けてくるからカズさん準備始めて?」
「準備?」
「今日はドレス着てデートでしょ?」
「え?こんな時間から出掛けるの?」
時計を見ると1時をちょっと過ぎたくらい。メイクして髪をセットしたって3時には用意できるぞ?
こんな真っ昼間からドレスアップしてどこに行くんだ?
「デートの前に行きたいとこあるの」
「行きたいとこ?ドレスで?」
「そ、ドレスで」
「どこ?」
「ヒ・ミ・ツ。行ってからのお楽しみっ」
雅紀は本当に楽しそうに笑った。
まぁ、別にいいんだけどね。雅紀と一緒ならどこでも。
あとはドレスを着るだけの段階で雅紀が寝室へ消え、戻ってくるとスーツに着替えてた。
ドレスを着て全ての準備が整った俺を見ると雅紀は満面の笑みで頷いた。
「やっぱりそのドレスにして良かった…スッゲェ似合ってるよ?最高にキュートだ」
雅紀が俺に近付いてきて抱きしめた。
「雅紀、リップが付いちゃう」
「あぁそっか…」
慌てて離れた雅紀…それはそれでちょっと寂しい。
そう思っていたら雅紀の手が俺の手を捉え指を絡めてギュッと握った。
「さぁ行こうか、カズさん」
暖かい微笑みと暖かい手…心まで暖かくなった。
俺も指に力をこめ握り返すと
「うん」
と笑顔で頷いた。