第5章 rival
コーヒーが飲み終わり、他の客もいて、あまり長居しても迷惑だろうからと、櫻井に言って店を出た。
そんなのは言い訳で、松岡さんと長い時間いさせたくないというのが本心だ。
店を出るときに「また来ます」という櫻井の言葉は気になったが、一緒に来れば問題ないだろ…
万が一ひとりで来たとしても、他に客が居れば何も出来ないだろうし。
あ~、なんで次から次から余計な奴が湧いてくるかなぁ…
櫻井にその気がないからまだいいが…
そういえば、櫻井に付き合ってる人はいないって聞いてたけど、今現在好きな人っているのかな?
今更だが、そんな基本情報も知らない自分が情けない…
ニノにでも聞けば、相葉辺りからすぐに聞き出すんだろうけど、余計なこと勘ぐられても嫌だしな。
でも、想像できないな…櫻井はどんな恋愛をしてきたんだろう。
ごちゃごちゃと考えていたら、あっという間に我が家に到着。
エレベーターで3階に上がり、廊下を一番奥まで進む。
玄関の鍵を開けドアを開いて櫻井を招き入れた。
「どうそ…」
「…お邪魔します」
遠慮気味に玄関に入ると、俺が部屋に上がるまで靴を履いて待っていた。
「遠慮しないで上がって?」
「あ、はい…」
靴を脱ぎ玄関に上がるとしゃがみ込み靴の向きを直す。
営業マンだからそのくらいやって当たり前なのかもしれないけど、家に来てまでやらなくても…
なんだか他人行儀に見えてしまって
「そんな事しなくていいよ」
なんて言ってしまう…
「でも他所様のお宅にお邪魔するんですからこれくらいしないと」
「お前友達の家でもそうやるの?」
「はい、雅紀の家でもやりますよ?」
相葉の家でも?じゃあしょうがないのか…こいつの育ちの良さなんだろうな。