第31章 future of hope
「どういうこと?」
「大野さんはさ、事あるごとにちゃんと言葉で翔ちゃんに気持ちを伝えて来てるんだ。
『翔ははっきり言葉にしないとわからないから』って言うけど、実際言葉にしないとわからないのは翔ちゃんだけじゃないんだよね?
元々別の人間なんだから『俺の気持ちわかってくれてるでしょ?』なんてのは驕りなんだよ」
「でも、雅紀の気持ちはちゃんと伝わってるよ?」
「今、カズさんのこと好きな気持ちは伝わってても、その先の話ってしたことないでしょ?
翔ちゃんは不安な思いを大野さんにぶつけるから大野さんはそれに対して応えてた。
俺はカズさんが何も言わないのをいいことに、先の話をしたことがなかった」
内心不安が無いわけじゃない。この先の人生、雅紀がどう考えてるのか知りたいと思ったこともある。
でも、俺からその事を聞くのは雅紀にすがってるみたいで恥ずかしくて出来なかった。
俺の小さなプライドが不安を口にすることを邪魔してたんだ。
「俺がもっと素直だったら雅紀だってこれからのこと話せたんだよね…」
翔ちゃんみたいに本心を伝えられてたら…
翔ちゃんは泣き虫だけど弱いわけじゃない、むしろ俺より芯は強いと思う。ちゃんと現実と向き合えるんだから。
男同士の付き合いをなんとなくで過ごしてない…智もそうだけど、ちゃんと将来を見据えて付き合ってるんだ。
「カズさんは今のままで十分だよ?それに素直じゃないって言うけど俺にしてみればこんなに分かりやすくて可愛い人いないんだから」
雅紀の手が俺の頬を優しく包んだ。