第31章 future of hope
「カズさん…俺、翔ちゃんのことも可愛いと思うよ?でもね、俺がこの先も一緒に居たいと思うのはカズさんだけだから」
初めて聞いた…雅紀が将来のことを語るの。
でも、俺と居るってことは子供は望めない。今ここで決める必要はないんだ…
「雅紀…俺も雅紀もまだ若いんだから決定じゃなくていいからね?
いつか雅紀が他の誰かと結婚したいとか思ったらその時は俺、身を引くから」
「ふふっ…やっぱりカズさんを幸せに出来るのは俺だけだね」
「なんでだよ、俺は雅紀の為に身を引くって言ってるんだよ?」
「そんなこと思ってないくせに」
「っ⁉」
本心はそう…こんな厄介な俺を好きだと言って全てを受け止めてくれるのはきっと雅紀以外に居ない。それに俺自身が雅紀を忘れることなんて出来ない…
それでも、雅紀には幸せになって貰いたいっていう想いも強いから身を引くって言ったのに…
「カズさん、俺のこと大好きでしょ?」
自信満々の笑顔で俺に聞く雅紀…
悔しいけどその笑顔も大きくて暖かい手も、そして俺の全てを包み込むその包容力も雅紀の全部が大好きだよ。
「…嫌いじゃない」
「ぷっ!」
「なんだよ…」
「やっぱり可愛い」
「…お前、趣味悪すぎ…」
「でもそのお陰でカズさんを好きになれたんだからいいんじゃない?」
「『そのお陰で』って…俺、けなされてね?」
「だって自分で言ったんじゃん」
「そうだけど…認められるとそれはそれでなんかヤダ」
雅紀はニコッと笑うと俺のことをギュッと抱きしめた。
「ほんと最高だよ…その可愛さ」
そう言って貰えるのは嬉しいけど、こんな天の邪鬼なヤツがいいなんて…やっぱり雅紀の感覚っておかしい?