第31章 future of hope
次に雅紀の口から語られる言葉を緊張しながら待った。
「俺が悪いんだ…」
雅紀のシャツをギュッと握った。
「俺が誤解させるような行動をとったから…」
その言葉を聞いてようやく体から力が抜けた。
智が言った通り雅紀の気持ちを信じていい?
でもじゃあ、あの子は…
雅紀の腕の中で顔をあげると雅紀が少し腕の力を抜いて俺の顔を見ながら話始めた。
「あの子高校の時の同級生なんだけど、俺が欲しいものがあって彼女にお願いしてたの。で、ほんとは今日俺が彼女の働いてる店に取りに行くって言ったんだけど会社の近くまで来る用があるから持ってきてくれるって、その言葉に甘えちゃったんだ」
「ほんとにそれだけ?」
「それだけだよ、俺のこと信じられない?」
真剣な眼差しで俺のことを見つめる雅紀…その目を信じていいよね。
「ううん、信じてる…てか、ごめん…お前のこと疑ったりして…」
さっき智に言われて気がついた…いつも大切にされてるのに簡単に雅紀のこと疑うなんて確かに雅紀にしたらショックだよな。
「いいんだよ、それだって俺が悪いんだから」
「なんで?雅紀、悪くないよ…」
雅紀は静かに首を横に振った。
「違う、俺が悪いんだ…俺がちゃんとカズさんに伝えきれてないからカズさんは俺の気持ちを疑うんだよ」
「そんなことない、雅紀が俺を大切にしてくれてるのはちゃんとわかってる。わかってるのに信じきれない俺が悪かったんだよ」
「だから『信じきれない』のは俺に問題があるの。
さっきカズさんに疑われたの知ったとき正直ショックだったよ?でも落ち着いて考えたらそれって俺のせいなんだよね」