第31章 future of hope
「ふ~ん…で?」
「で、って…それだけだけど…」
「なんだお前、俺のことさんざん独占力強いとか言っておきながら自分だって相当なもんじゃねぇか」
「なんでだよ、女の子からモノ貰って喜んでんだぞ?その子の方が良くなって付き合うかも知れないじゃん」
「だとさ…そうなのか?」
「へぇ?そんな風に思われてるんだぁ…心外だなぁ」
聞きなれた声に振り返ると雅紀がニコッと笑い俺を見た。
「なんで、お前がここに…」
「大野さんから連絡が入ったから『ニノ拾った、自販機コーナー』ってね」
「いつの間に?」
智の方を見ると事も無げに言った。
「コーヒー買ってるとき」
あんな短時間で?コイツのことナメてた…さすが第一営業課のトップセールス、仕事が早い。
「さてと、あとは家でゆ~っくり聞かせて貰おうかな?カズさん」
ニッコリ笑ってるのに何故か背筋かゾクリとした。
「御愁傷様…」
ボソリと智が呟いた。
「なんでだよ!俺、何も悪くないじゃん!」
「そっか?翔がもし俺の浮気疑ったら、俺としてはお仕置きだけどな?相葉も同じだろ?」
「なんで!」
「そりゃそうだろ…これでもかってくらい愛してんのに気持ち疑われんだぞ?疑われた方だってショックだろ」
「でも、雅紀は現に…」
「女の子と会ってただけで気持ち疑われんの?日頃の相葉のお前に対する想いってそんなもん?」
「…そんなことないよ…でもやっぱり女の子の方が可愛いし、そっちの方が普通じゃん…」
「へぇ、お前も自分に自信がないんだな…ちょっと前までの翔とおんなじ。愛されてるって信じきれないから相手の気持ちを疑っちまう。
まぁ後は家に帰ってからゆっくり話聞けや」
「ありがとうございました、大野さん」
「いいよ、お前には借りが山積みだから…じゃあな」
立ち去る智を見送ったあと俺の方に向き直った雅紀。
「さ、帰ろ?カズさん」
笑顔なのに怖い…俺、お仕置きなの?