第31章 future of hope
慌てた智に自販機のあるスペースに連れていかれた。この時間だとひと気が少ないしな。
椅子に座らされその前に智がしゃがみこんだ。
「どうしたんだよ、具合でも悪いのか?」
首を横に振るとホッと息を吐き立ち上がった。
「そっか…」
それだけ言って自販機に向かう。
「ほいっ」
俺の手のひらに缶のココアが乗せられた。
「なんでココア?」
「疲れてる時は甘いもの摂った方がいいから」
「ぷっ、なにそれ?それに俺、疲れてないし…」
「そっか…」
智は俺の隣に座り缶コーヒーを開け飲み始めた。
「なんで自分はコーヒーなんだよ」
「俺、疲れてねぇもん」
俺に向かってニカっと笑った。
智からは何も聞いてこない…
でも、心配してないとかではないんだよな。俺から話すの待ってくれてるんだ。
だから智と居るのは心地いい。余計な事を詮索されないから。
貰ったココアを開け一口飲むと『はぁ~』っと大きく息を吐いた。
「俺さ、雅紀と別れるかも…」
「は⁉なんで?相葉のこと嫌いになったの?」
俺が首を横に振るとちょっと安心した表情を見せた智。
「じゃあなんで…」
「雅紀に好きな人が出来た、かも…」
「ぶっ!あははっ!それはないわっ!」
吹き出して笑う智に少しイラッとした。俺が智に笑われるなんて。しかも簡単に無いって言い切るし。
「なんでないんだよ!」
「見てればわかるじゃん、アイツがお前以外の誰を好きになるんだよ」
「俺だってそう思いたいよ…でも、アイツ、女の子と楽しそうにお茶してた…」
「それだけ?」
「あと、プレゼント貰って嬉しそうに笑ってた」