第31章 future of hope
家に帰っても智から言われた言葉が頭から離れない。
俺と雅紀の将来ねぇ…俺は性格的に女性と結婚なんて考えられない。でも雅紀は?アイツ女性も愛せるタイプだもんな。いずれ俺と別れて…なんて考えてたら
「ねえカズさん、今度の土曜、外でデートしよ?」
雅紀からの突然の誘い。
そういえば久しく外でデートらしいデートしてないな。
冬は寒くて俺が外に出たくなくて、春は雅紀の花粉症が酷くて外に出るのを極力控えてた。ゴールデンウィークに一泊で旅行したくらいか。
「別にいいけど、どこか行きたいとこあるの?」
「うん、日曜日カズさんの誕生日でしょ?ホテル予約したから外でお祝いしようよ」
「え?あっ!」
ほんとだ、今度の日曜は俺の誕生日…
「お祝いなら家の中でもお祝いできるじゃん」
雅紀にお祝いしようって言われて嬉しいのに素直に嬉しいって言えない…いい加減素直に言葉にしようとは思うんだけどやっぱり照れが先に来ちゃうんだよな。
あ~、翔ちゃんみたいに素直にありがとうって言えれば雅紀も喜ぶんだろうけど…
「ふふっ、この日の為にスイートルーム予約したんだ」
素直じゃない俺に対しても微笑んでくれる雅紀。
「まぁ、予約までしてるならいいけどさ」
「よかった、ちょっと待ってて」
雅紀が立ち上がり寝室へ入っていくと大きな箱を手にして戻ってきた。
「はいこれ」
そう言って雅紀が箱を差し出した。
「何コレ?」
箱を受け取り中を覗いた。
「洋服?」
「そっ!俺からの誕生日プレゼント」
誕生日プレゼント?誕生日前にくれちゃうの?
蓋を開け引っ張り出し広げてみた。
「はっ?何コレ⁉」
「だからプレゼントだってば」
驚く俺に対しニコニコの笑顔で答える雅紀。
「だってこれ、どう見たって…」
「可愛いでしょ?カズさんが似合いそうなの探しまくったんだから」
俺に似合うって…淡いパステルイエローのカクテルドレスが?
「それ着てお祝いしようね?」
嬉しそうに笑う雅紀…こんなの着てどこでデートするんだよ。