第31章 future of hope
「それで?俺に引っ越し手伝えって?」
「違うよ…お前に力仕事は期待してない。ただお前たち突然部屋に乱入して来てたから、万が一またそれやられたら次の住人に迷惑だと思って報告しただけ」
「失礼な…俺たちはふたりの為を思って行動してたのに」
まぁ、半分はほんとにふたりの為なんだけど、残りの半分は自分たちの為だったりする。
だってこのふたり、俺と雅紀の前では恥ずかしげもなくラブラブオーラを撒き散らすんだけど、でもそれがイヤらしくないと言うか、とにかく翔ちゃんが可愛らしく見えて…
そうなると俺もほんのちょっとだけ雅紀に甘えてみたくなる。
雅紀もわかっているのか、そんな俺のことをいつも以上に甘やかしてくれて…アッチもね、いつもより優しくしてくれるんだ。
「ははっ、悪かったな。ほんとはすっげぇ助けられてるよ。ふたりには感謝してる、だから報告したの」
「気持ちわるっ!智に礼を言われるなんて」
「相変わらず素直じゃねぇな。ほんとよく付き合ってるよ相葉のヤツ」
「ふんっ、俺は別に頼んでないのに雅紀から来たんだから自分の責任だろ」
「まあな…でも実際どうなの?お前も満更でもないんだろ?相葉のこと。
本気で将来のこと考えたりしないの?同居もしてるのに」
「同居ったっていつの間にかアイツが荷物運び込んでてそうなっただけだよ。俺が来いって言った訳じゃない」
雅紀に合鍵を渡してからアイツが最初にしたのはベッドを大きな物に買い替えたこと。
それから徐々に雅紀のモノが増えていって気がついた時には雅紀は俺の家に住みついていた。
智みたいに明確な言葉があった訳じゃない…
雅紀はどう考えてるんだろ…この先の俺たちのこと。