第31章 future of hope
「今度引っ越しするから」
梅雨入りして数日たった頃、智の口から報告があった。
「え?なに?とうとう翔ちゃんに捨てられた?」
「捨てられてねぇわっ!」
「ふふっ、わかってるよ。翔ちゃんが智から離れるわけないことくらい。
でもなんで引っ越しなんか…過保護やめるの?」
「それも無理だな。あんな危なっかしい奴ひとりにしといたら気が気じゃねぇし。翔も一緒に引っ越すんだよ」
「あぁ~、そう言うことね?嫁に貰うんだ」
「まあな」
からかい混じりで言ったのに智は嬉しそうな笑顔でそう言った。
「へ?マジで?」
「うん、マジで…って言っても籍は入れられないけどな。それでも形だけはちゃんとしたくて」
「翔ちゃんにも話したの?」
「もちろん話したよ。プロポーズして指輪も渡した」
「プロポーズまでしたの⁉」
「した。だってアイツ、はっきり言葉にしないとわかんねぇんだもん。
それに俺もちゃんと自分の意思を伝えたかったし」
「そっか、おめでと智…よかったね。翔ちゃんみたいないい子幸せにしないとバチが当たるよ?」
「わかってるって」
そう言って微笑む智自身も幸せそう。
このふたりならお互いの事を大切にしてずっと幸せに暮らしていけるんだろうな。