第30章 年下のオトコノコ♪
あれから一年…
「智、起きて?そろそろ帰らないと」
「ん、やだぁ…明日休みだもん、今日は泊まる…」
ベッドの上で俺の腰にしがみつく智。
「お家の人心配するよ?」
「もぉ、いつまでも子供扱いするなよ」
拗ねた声を出す智…高校3年だった智も今は大学一年になった。
高校卒業まで智とは清い交際を続けキス止まりの関係だった。痺れを切らしたのは智の方で卒業式当日の夜、着替え持参で家に乗り込んできた。
「もう子供じゃないからな!」
俺のことを押し倒すんじゃないかって勢いで抱きついてきてキスを仕掛けてきた。
そんな智はやっぱり可愛くて俺は壊れ物を扱うように優しく優しく智を抱いたんだ。
それからは週末だけじゃなく平日も家に来ては夕飯の用意をして待っていてくれる。
智と俺の仲はありがたいことに智のご家族に受け入れて貰え、親公認の付き合いとなっている。
付き合いはじめてすぐの頃、智がどうしてもって言うから不審がられるのを覚悟で遊びに行ったんだ。それなのに何故かえらく歓迎され拍子抜け…
智が俺に2年間片想いをしていたのを家族全員が知っていて応援していたんだって。
すげぇぶっ飛んだ家族だと思ったけどそのおかげでふたりは今気兼ねなく付き合えてるわけだし、ありがたい話だ。
それでもまだ未成年、なるべく宿泊はさせないように気を使ったりはしてるんだけど。
「ねぇ翔ちゃん、俺ここに住んじゃ駄目?」
「駄目」
「なんでぇ?ケチ~っ」
「ケチじゃないよ。まだ未成年だろ?実家だって近いのにこんなおじさんの所に入り浸ってたら周りの人に変な目で見られるぞ?」
「こんな時だけおじさんって言う~、普段言うと怒るクセに狡いっ!」
「狡くてもなんでも駄目なもんは駄目だよ…」
「なんで?翔ちゃんは俺とずっと一緒にいたくないの?やっぱり俺のこと好きじゃないんだ…」
「あのなぁ…好きに決まってるだろ?好きじゃなかったら男なんて抱けないよ」
「だって…」
俺を見つめる目に涙が浮かんでくる。俺は智を抱きしめチュッとキスをした。