第30章 年下のオトコノコ♪
智くんから話を聞くと智くんが俺のことを知ったのは高校生になってすぐの頃。駅で見かけて一目惚れに近かったらしい。
それから近所のコンビニで見つけ、毎週末の昼頃に俺がコンビニに姿を見せることに気がついた智くんは同じように週末にコンビニに来ていたんだって…そんなこと全く気がつかなかったよ。
駅で偶然にも俺に声を掛けられ心臓が止まりかけて、その後心配してお金を貸した俺に益々惚れたんだとか…
千載一遇のチャンスだと思ったのに連絡先を聞き逃し、とった行動が駅での待ち伏せ。
「そうだったんだ」
「うん、だって見た目だけじゃなくて性格もいいってわかったら我慢できなくて…絶対この人手に入れたいって思っちゃったんだもん」
ケーキを食べながら幸せそうな笑顔を浮かべる智くん。
ケーキを食べられて嬉しいのか、俺と付き合えることが嬉しいのかどっちなんだろう?
まぁどっちでもいいか、可愛い智くんが見られるんだから。
「翔ちゃんは?いつ俺のこと好きになってくれたの?」
「ん?あの朝駅で会った時だよ?」
「あの時?」
「うん。なんか困ってる智くん見たらほっとけなくて、ずっと可愛いなって思って見てたんだよね…あの時連絡先教えないで別れたことすんげぇ後悔した」
「そうなの?全然俺のこと意識してないのかと思ったのに」
「なんで?」
「普通にフラペチーノ飲んだから」
「どういうこと?」
「だって…間接キス…」
「あっ!」
だからあの時智くんはカフェラテ飲みづらそうにしてたのか。
「やっぱ可愛いなぁ…」
「なにが?」
「間接キスで恥ずかしがっちゃうとこ…」
「ぶ~、子供扱いしてる…」
「してないよ」
クスクス笑う俺に対し智くんは唇を突きだし膨れっ面をした。
「してるよっ」
「してない…」
突き出した智くんの唇にそっと唇を触れさせた。
「ね?してないでしょ?」
「してる…そんな子供騙しのキスじゃ騙されないしっ」
「いいの?そんなこと言って…」
「いいのっ!」
やっぱ子供だな…でも俺、その子供に捕まったんだよなぁ。
「覚悟しろよ?」
智くんの頬に手を添えると智くんは嬉しそうに頷いて目を閉じた。