第29章 可愛いアナタ
「雅紀、今日のご飯何?」
リビングに向かう途中いつもの様に翔ちゃんが聞いてきた。
「今日はしょうが焼きだよ」
「やったぁ、雅紀のしょうが焼き大好き」
「ありがと。ねぇそれよりも翔ちゃん、着替えてきちゃえば?」
「あ、うんそうだね…ごめん菊池、ちょっと着替えてきていい?」
翔ちゃんは振り返り後ろについてきた菊池に声を掛けた。
「もちろんいいですよ?いつもしているようにしてくたさい」
「すぐ戻ってくるけど先に飲んでていいから」
「お待ちしてます。少し相葉さんにお聞きしたいこともありますし」
「そっか、じゃあちょっと着替えてくる」
「いってらっしゃい、翔ちゃん」
翔ちゃんがリビングを出ていくのを確認した菊池は俺の方へ向き直った。
「相葉さん、いくつか質問いいですか?」
「いいけど、料理しながらでいい?翔ちゃんお腹すかせてるだろうし」
「ええ、構いません」
俺はキッチンへ入ると菊池は対面キッチンのカウンターの前に立った。
「質問いいですか?」
「いいよ」
俺は料理をする手を止めることなく菊池の話を聞いた。
「まずはおふたりの名前の呼び方なんですけど、課長は相葉さんを『雅紀』と呼んで相葉さんは『翔ちゃん』なんですね?」
「ん、そうだね。それが何か?」
「いえ、思った通りだなって…ご飯の準備も大体相葉さんなんですか?」
「そうだよ、翔ちゃんは料理殆ど出来ないんだ」
「やっぱり…」
呟きながらひとりで納得してる菊池。
「なんだよ、やっぱりって…」
「あぁ、気にしないでください…俺の考えてることと合わせていってるだけなんで」
「お前の考えってなに?やっぱり疑ってんの?俺たちのこと」
「正直言えばそうですね」
「なんで?」
「だって想像つかないんですもん、ふたりが愛し合ってる姿」
「愛し合ってる姿?どういう事?」
「もちろんエッチしてる姿ですよ?」
爽やかな笑顔を見せながらとんでもないことをさらっと言われた。
そんな事まで想像されてんのかよ…