• テキストサイズ

恋歌 《気象系BL》

第28章 forever


《翔side》

人通りが少ないとはいえまだ昼間。いつ誰に見られてもおかしくない。
それでも智さんは俺の手を握り歩いた。

少し心配になり智さんに声を掛けると智さんは優しい笑顔で

「俺は大丈夫だけど?翔は気にする?」

って聞いてきた。
少し前の俺なら智さんの為に絶対に知られたくなかったふたりの関係…

でも、今は智さんが何があっても大丈夫だって言ってくれるから。だったら俺もその覚悟に付いて行こうと決めた。
ふたり一緒なら周りからどんな目で見られても大丈夫。

改めて公表する気はないけれど…でも、智さんのお陰でこそこそ怯えながらふたりでいる必要もない、って思えるようになったから…
自信を持って智さんを好きって言えるようになったから…だから俺も智さんの手を握り返し歩いた。

少し離れた所からでも見えた桜の大木。
17年前に智さんと見た桜の木は今も変わらず綺麗な花を咲かせていた。

「綺麗だなぁ…満開だぁ…」

桜の木を見上げながら智さんが呟いた。

「ほんと、ちょうどいい時期でしたね?」

「来週じゃ散ってるかもな…」

「散ってく桜も綺麗ですけどね」

「まあな…桜はいつでも綺麗だよ」

ニコッと笑って俺を見た。
その笑顔に17年前のさとくんが重なる。

初めて好きになった人…
またこうしてふたりでこの桜を見られるなんて夢にも思っていなかった一年前。

男性を本気でを好きになり、想いが叶うはずないと悩んだ日々…
その相手が初恋の人でしかも両想いだとわかった時『こうゆうのを運命って言うのかな?』って人生で初めて思った。

そして今…これが運命じゃないとしても、この先俺は自分の意思で智さんから離れないと決めた。
俺が智さんから離れるときは智さんが俺を嫌いになったとき。

それは永遠に来ることがないと信じられるから…だからこれからも俺は智さんと一緒に生きていく。
/ 760ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp