第28章 forever
《智side》
翌週の金曜日、仕事を終え会社を出るためにロビーを通ると翔の足が止まった。
翔の視線の先を見るとロビーに置かれた椅子から松本が立ち上がりこちらに向かって軽く頭を下げた。
「潤…」
翔が松本に歩みよると松本は翔に向かって苦笑いをした。
「悪かったな、連絡なしで来て…」
「ううん、大丈夫…もう帰るだけだから」
「明日アメリカに帰るから、最後に会っておきたくて」
「そっか…元気でね、今度日本に来るときはちゃんと連絡してからにして?予定空けとくから」
翔がそう言うと松本は少し驚いた顔をした。
「また会ってくれるの?」
「勿論だよ、俺たち友達だろ?」
翔が笑顔で答えると松本も微笑み返した。
「ありがと、翔。
お前もさ、一度くらいアメリカに遊びに来いよ…恋人と一緒でいいから」
「うん、わかった」
「今度は約束忘れるなよ?」
「うん、ごめんね…今度こそ忘れないから」
松本は俺の方を向き深々と頭を下げた。
「翔のこと、よろしくお願いします…俺の大切な友人なんで」
「善処します…とにかく手が掛かる奴なんで」
松本は頭をあげると苦笑いした。
「確かに…」
「だろ?」
俺も苦笑いすると翔は少し拗ねたように唇を尖らせた。
「…そんなことないです」
「そんなことあるだろ?どんだけ俺が苦労してると思ってるんだよ…」
「俺…やっぱり智さんに迷惑掛けてます?」
翔が心配そうな顔をして俺を見た。
「あのな?いつも言ってるだろ?苦労はしてるけど迷惑ではない…そんなところも含めて翔だから…」
翔の耳元へ唇を寄せた。
「そんな翔を愛してんの…」
そう言うと翔は顔を真っ赤にして、でも嬉しそうに微笑んだ。
「はあ~、こんなところで何やってんだか…」
声の方に振り向くと呆れた顔をしたニノとニコニコ笑顔の相葉がいた。