第28章 forever
《智side》
松本が目を見開いたまま翔に視線を移した。
「今の話…本当なのか?」
翔は首をコクンと縦に振った。
「じゃあ俺がお前にアプローチしてる時もお前…男の事が好きだったの?
ただ単に俺の事が好きじゃなかったから相手にしなかっただけ?」
翔はフルフルと首を横に振ると松本をじっと見つめ話し出した。
「ごめんね潤。中学の時、潤が俺のことを好きでいてくれたのは気が付かなかった。
さっき言ったけど雅紀の気持ちにも気付いてなかったし。
今でも俺、人から好意を持たれてても気が付かないんだ。その事を恋人からよく注意されてる。
そのせいで相手の事を傷付けたこともあって…潤のことも傷付けたよね。
だから今回の件は俺に原因がある…ごめんなさい」
翔が深々と頭を下げた。
「翔が鈍感なのはわかってたよ…」
松本が苦笑した。
「で?初恋の人をずっと想い続けてて想いが叶ったんだ」
「正確にはずっと想い続けてた訳じゃなくて…初恋の人とは子供の時、5日間しか過ごしてないんだ。
でも凄く好きだったから記憶に残ってて特別な存在ではあった。
その人とたまたま去年再会したんだけど、俺、その人が初恋の人だって気が付かなかったんだ…気が付かないままその人に恋してた…」
「翔から告白したのか?」
「ううん…男の人に告白なんて怖くて出来なかった。それにその人好きな人がいるっ言うし、しかも相手は初恋の人だって…」
当時の事を思い出したのか翔が少し哀しそうな顔をした。
「想い続けても無駄なんだって頭ではわかってるんだ…でも諦めようとしても想いは募る一方で、凄く苦しかった…」