第28章 forever
《翔side》
そう…叶うわけないって思っててもどうすることも出来なかった想い…
恋する気持ちは自分ではどうにもコントロール出来なくて、潤が俺をずっと想い続けてくれていたのだとしたら今回こんな強行に出てしまったのも仕方がないのかも知れない。
「それで?他に想ってる人がいる奴をどうやってタラシこんだんだ?」
「潤!タラシこんだなんて翔ちゃんに失礼だろ?」
雅紀が潤を咎めたけど潤としては自分の気持ちのやり場がないんだろうな。
「大丈夫だよ雅紀…何言われても俺は気にしないから」
「好きな男を手に入れたんだもんな?そりゃ何言われても平気だろ?それで穢れてないなんてよく言えたもんだけどな」
潤が嘲笑うと今まで黙っていた智さんが口を開いた。
「翔はタラシこんでなんかない…俺の初恋の相手は翔だよ」
潤はジロリと智さんを見た。
「やっぱアンタか、翔の恋人。この部屋に勝手に入って来るし、何よりもさっき翔の事抱きしめてる姿見てそうだと思ったんだよ。
でもいつまでも黙ってるからさ、世間体気にしてずっと隠し通すのかと思った」
「そんなことしないさ…翔が自分で話したいだろうと思ったから黙っていただけだ。
俺は翔との関係が世間にバレても翔を手放す気はない。その事は翔にも伝えてある」
潤は暫く無言で智さんを見つめた後、ふっと表情を緩めた。
「ちゃんと翔の事考えてくれてんだ…黙ってしらばっくれる様だったら許さないとこだったよ」
「ずっと想い続けてきたお前には申し訳ないけど、翔は渡せないから」
「もういいよ…翔は変わってなかったし、あんたの気持ちも確認できたから。あんま無様な姿見せたくねぇし…雅紀ばっかいい男演じさせたくないしな?でもさ、諦める代わりにお願いしていい?」
「なんだ?」
「雅紀と同じこと…この先も翔を穢さないで。って俺が言うのも可笑しな話なんだけど」
潤が苦笑すると智さんはフッと笑い返した。
「確かにな…でもその願いは叶えるよ」
潤は頷くと俺に向き直った。
「襲って悪かった…ごめん、翔」
潤が頭を下げた。潤が謝罪をする姿を見るのは初めてだ。
「ううん、俺こそごめんね…俺が鈍感だったせいで」
「まぁ、全ての原因はそれだよな」
「「だよなぁ…」」
潤が苦笑しながら言いその後智さんと雅紀の声が重なると3人は顔を見合わせ声を出して笑った。