第28章 forever
《翔side》
よかったぁ…雅紀が目を覚ましてくれた。俺のせいで薬を飲まされて…何かあったら申し訳ない。
「雅紀、ごめんね…」
上半身を起こした雅紀の脇に座り頭を下げた。
「なんで翔ちゃんが謝るの?薬飲ませたの翔ちゃんじゃないんでしょ?」
「もちろん違うよ…でも…」
俯いた俺の頭を雅紀の手が撫でる。
「いいよ、翔ちゃんが無事だったんならそれだけで十分」
顔をあげると雅紀は優しい微笑みを浮かべていた。
「雅紀、ありがと…」
感謝の気持ちを込め雅紀をそっと抱きしめた。
「なに?やっぱりふたりそういう関係?俺のこと騙してたの?」
声のする方に振り返ると潤が壁にもたれ掛かり腕組みをして俺たちのことを見ていた。
「はぁ…騙してなんかいないよ」
雅紀は俺の肩を持ち体を遠ざけると呆れたように潤を見た。
「じゃあなんでお互いそんな『大切な人』扱いしてんだよ」
「だって『大切な人』だもん」
雅紀が即答した。
「ふっ、やっぱそうじゃねぇか…」
潤がそれ見たことか、といった感じで鼻で笑った。
「勘違いするなよ?
俺も翔ちゃんも今は無くてはならない大切なパートナーがいる…だから俺も翔ちゃんもお互いに恋愛感情は一切ない。
でもさ、翔ちゃんは大人になったとはいえ、あの頃のままの純真さを失ってないんだ…俺が好きだった翔ちゃんのままなんだよ。
だから穢れてほしくない…その為の手伝いが出来るならなんでもするさ」
雅紀がそんな風に思っていてくれたなんて知らなかった…
雅紀の顔を見ていたら智さんの手が肩に乗った。智さんを見ると智さんも優しく微笑んでくれて
「良い友人がいて良かったな?」
「はい」
俺も心の底からそう思った。