第28章 forever
《翔side》
何が起きたのかわからなかった。
俺の上から潤の姿が消え代わりに智さんが現れた。
智さんに抱き起こされ両腕に包まれるとホッとしたのとさっきまでの恐怖心で涙が止まらなくて…
そんな俺の背中を擦りながら智さんは優しく声を掛けてくれた。
「もう大丈夫だよ…ごめんな、もっと早く来てやれば良かった…」
智さんの顔を見ると眉を寄せ心底後悔している表情…智さんも泣き出すんじゃないかと思うくらい瞳が潤んでた。
「ちがっ…さ、としさ、んは、悪く、ない…俺が、油断、して、たから…ごめ、なさいっっ…」
智さんの優しい手が俺の頭を抱え込むようにぎゅっと抱きしめてくれた。
「なぁ、アンタ誰?なんでここに居るの?」
潤が俺と智さんの前に立ち俺たちを見下ろした。
「翔と同じ職場の人間だよ」
「あぁ、そういえば昼間翔と一緒にいたね…で?職場の人がなんで翔の部屋に入ってきたの?鍵閉まってたよね?不法侵入?警察呼ぶよ?」
「お前がしたことの方がよっぽど犯罪行為だろうが、人の事襲っといてどの口が言うんだよ」
「襲った?襲った覚えなんてないけど?翔のこと気持ちよくしてやろうとしただけじゃん」
「本人嫌がってただろ?」
「気持ち良くしてやれば問題ないだろ」
「問題あるわ!大体無理矢理されて気持ち良くなんてなれるかっ」
「そお?今までシテきた奴ら、最後にはみんな悦んでたよ?翔だってそうなんじゃないの?」
全く悪気を感じてない潤。
確かに昔から自己中心的だったけどそれでも友達想いのいい奴だった…
だから俺も雅紀も一緒に居たのに…あっ…
「雅紀っ」
智さんの腕の中で眠ったままの雅紀を見た。