第28章 forever
《智side》
相葉から『今翔ちゃんの部屋に着きました』と言う連絡が入り少し安心した俺。
無事に3人で部屋に辿り着いたことにホッとした。家に帰ってくれば後は嫌でも3人で過ごさなくちゃならない、相葉が一緒なら下手なことにはならないだろうと思ったから。
そんな気の緩みからか缶ビールを3本空けたところでテレビをつけたままうたた寝をしてしまった。
テーブルに置いておいたスマホの着信音がなり目を覚ますと相葉から土下座をしているスタンプが送られて来ていた。
なんだ?何かあったのか?
『どうした?何かあった?』
そう送っても返信どころか既読も付かない。
10分ほど待っても音沙汰がないから電話を掛けようとしたら下の部屋から『ガシャンッ』という物音がした。
嫌な予感がした俺は翔の部屋の鍵を手に取って部屋を飛び出した。
もし何も無ければそれでいい。いや、むしろそうあって欲しいと願いながら階段を駆け下りた。
静かに玄関の鍵穴に鍵を差し込みドアを開ける。部屋の中は静かで何も聞こえない。
足音をたてないようにリビングを覗くと誰かが誰かの上に覆い被さってる状態。
「や、ぁっ…や、めて…」
翔の抵抗する声。下にいるのは翔?
俺は気が付かれないように近付きソイツを羽交い締めにして後ろに引き剥がした。
「うわっ!」
「大丈夫か⁉翔!」
「あ…さ、とし、さ…」
翔は涙を流し震えていた。裸の上半身には所々に紅い痣。
俺は松本を放り出し翔の元へと駆け寄った。
翔の手に巻き付いていたシャツをほどき抱き起こすとTシャツを着せた。
翔の震える手が俺の腕を強く握ぎる。
「翔、もう大丈夫だから…」
「さ、としさ…ふっ、ぅっ…」
翔は震えながら俺に抱きつき嗚咽を漏らして泣いた。