第28章 forever
《翔side》
マンションに着くと智さんの部屋の灯りが見えた。
智さんひとりで何やってるのかな…そう思いながら窓を見上げていたら無性に智さんに会いたくなった。
たった数時間前に別れたばかりなのに、明日になれば会えるのに…それなのに智さんに会いたくて仕方がない。
俺、おかしいのかな…気が付くと頭の中には常に智さんがいる。
もう一階上のフロアに進みたくなる気持ちを抑え自分の部屋に向かった。
玄関の鍵を開けドアを押さえる。
「どうぞ、入って」
「お邪魔しま~す」
先に上がりリビングへ向かう雅紀に潤がついていく。俺も鍵を締め、後を追った。
雅紀が部屋の電気を付けると潤が訝しげに雅紀を見た。
「お前、随分慣れてんな。しょっちゅう翔の家に来てるのか?」
「そんな来てないよ。もぉ~、まだ疑ってんの?」
テーブルに荷物を置きながら雅紀が苦笑した。
「イヤ、疑ってはないけど羨ましなって思っただけ」
「羨ましい?何が?」
俺がそう聞くと潤は切ない眼差しで俺を見た。
「もちろん翔と一緒にいられることが、だよ」
「そんなこと?」
俺がそう言うと潤は苦笑した。
「そんなこと…か。翔にとったら俺の存在ってそんなモンなんだな…俺と一緒に居たいとか思ったことないんだろ?」
「あ…」
そうだよね、今の言い方だとそう取られても仕方ない。
自分だって智さんとずっと一緒に居たいと思っているのに…それを智さんに『そんなこと』なんて言われたら凄くショックだ。
「ごめん潤…」
「いいよもう…翔にとって俺の存在がどんなもんかわかったから。約束も忘れてたくらいだしね」
そう言った潤の目が鋭く光った。
俺、また潤のこと怒らせちゃった…