第28章 forever
何も言えずにいると潤は俺から視線を外し下を見た。
『ふっ』という笑い声が聞こえ再び顔を上げた潤はいつもの潤だった。
「ま、いっか…9年間も離れてたんだもんな。翔だってあの頃のままでいるわけないよな?」
「そうだよ潤。翔ちゃんだって大人になったんだから…昔の翔ちゃんとは違うんだよ」
「残念だな…なぁ翔、俺がアメリカに行くときなんて言ったか覚えてる?」
急に潤に質問されたけど、9年も前のことなんて覚えてない。
でも潤は覚えてたってことだよね。
何とか思い出そうと考えるけど…駄目だ、出てこない。
「ごめん潤…覚えてない…」
そう言うと潤は苦笑した。
「やっぱ覚えてなかったかぁ…まあいいや、それでも俺は約束果たしに来たんだから」
「約束?今回潤が果たしに来た約束の相手って俺なの?」
「そうだよ?翔をアメリカに連れて行くために戻って来た」
「え?俺をアメリカへ?俺、潤とそんな約束した?」
全く覚えがないんだけど。
「したよ。俺がアメリカへ行くって話をしたとき、『いつかアメリカへ来いよ』って言ったら『うん、絶対行くからね』ってお前そう答えたんだよ」
「あっ!」
「思い出した?」
確かにそんな話した。
アメリカ行きの報告をする潤があまりにも悲しそうに見えて…だからいつか遊びに行こう、って思ってそう約束したんだ。