第28章 forever
「なんで翔が女装してるんだよ?雅紀がさせたのか?」
「まぁ、女装させたのは俺だけど…」
「お前狡いぞ!可愛い恋人いる癖に翔のことまで女装させて楽しんでるなんて!」
「そんな楽しんでるなんて…」
潤の迫力に押され気味の雅紀が言い淀む。
「楽しんでる以外に何があるんだよ!翔のことは何とも思ってないって言いながらやっぱり諦めてないのか?」
「いや、だからそれはないって…」
「じゃあなんでだよ、ちゃんと説明しろ」
「潤、雅紀は悪くないってば。俺が雅紀に頼んだの」
「翔がそんなこと頼むはずないだろ?雅紀のこと庇ってんのか?」
「確かに女装させてくれとは頼んでない。でも結果的にはそれで良かったんだよ」
「なんだよ、結果的には良かったって」
「俺も楽しめたからいいってこと」
そう言うと潤は目を見開き俺を見た。そのまま暫く俺を凝視したあと目を細めて何かを考えているようだった。
「へぇ~、なるほどね。翔も楽しんだんだ…」
潤は両肘をテーブルに付き両手を顎の前で組んだ。
微笑みを浮かべ俺を見つめる潤…その微笑みは何故か背筋がゾクッとするほど冷たいものに感じた。
「翔もそういうことを楽しめるようになったんだね…」
潤の瞳が俺を射竦める。