第27章 What is your dream ? #10
そして今、俺たちは5人で一緒に仕事をしている。
「ねぇ、今日の取材の内容聞いた?」
翔ちゃんが俺たちのことを見回した。
「ううん、聞いてないよ」
「俺たちも聞いてないよな?」
「うん、聞いてない」
「今日の取材のテーマは『こどもの頃の夢はなんですか?』だって」
「子どもの頃の夢?」
「うん、そう…みんな子どもの頃の夢って覚えてる?」
「ん~、なんだったっけ?」
俺、夢ってあったかなぁ?
「俺はちゃんと覚えてるよ」
「え?なになに?松潤ってどんな夢持ってたの?」
翔ちゃんが興味津々に聞いてきた。
「俺の夢はカズを嫁に貰うこと」
「ぶっ!」
コーヒーを飲んでた大ちゃんが噴き出した。
「なに⁉お前子どもの頃からそんな事思ってたの?」
「うん、幼稚園の頃には母さんに言ってたよ『大きくなったらカズくんの事お嫁さんにする』って」
「はぁ~、すげぇなぁお前…夢叶えたんじゃん」
「まぁねぇ~」
感心する大ちゃんと得意気な表情をする松潤。
「ねぇ、わかってるとは思うけどその答え今日の取材では言わないでよ?」
少し頬を染めるニノ。
「え、ダメなのか?」
「駄目に決まってるでしょ?そんなこと言ったらファンの子たち引くよ?」
そう、今の俺たちのお仕事は多くのファンの子たちに支えられて活動しているアイドル。
あの合宿のあとの大会で初出場ながらも優秀賞を貰った俺たち。
翔ちゃんがもっと多くの人に大ちゃんのダンスを観て貰いたいとその時の映像を動画サイトに投稿した。その映像を観た今の事務所の人が俺たちを訪ねてきたのはそれから3か月後のこと。
「君たち歌って踊れるアイドルになりませんか?」
「「「「「はっ?」」」」
5人の声がキレイにハモった。