第23章 What is your dream ? #6
1時間程歩いて着いた雅紀のお祖母ちゃんの家。隣の家と何メートル離れてるんだ?しかも家も庭も相当広い。雅紀が引き戸の玄関を開けると大きな声で挨拶をする。
「ばあちゃん、着いたよー!」
部屋の奥から雅紀に似て優しそうなお祖母ちゃんの姿が見えた。
「いらっしゃい、よく来たねぇ…疲れたでしょぉ?早く上がって休みなぁ」
俺たちが挨拶する間もなく部屋へと案内される。せっかちなところも雅紀似だ。いや、雅紀がお祖母ちゃんに似たのか。
「お邪魔します」
と、みんなで挨拶しながら上がらせて貰った。居間に通されるとそこは畳の部屋。座布団を出されその上に正座した。
「足は崩しなよぉ、慣れないからすぐに痺れるよ」
笑いながらそう言ってくれたから俺たちはお言葉に甘えさせてもらい足を崩して座り直した。
お祖母ちゃんが温かい日本茶を出してくれた。一口口に含むと甘味を感じた。
「旨いっ…」
普段あまり飲まない入れたての緑茶。少しぬるめで香りもいい。
「若い人は緑茶なんてどうかと思ったんだけどねぇ」
「いや、旨いっす…緑茶をこんなに旨いと思ったの初めてかも」
「良かった、良かった」
「あ、そうだお祖母ちゃんこれ…」
翔さんが荷物の中から包装紙に包まれた箱を出し、ちゃぶ台の上に置いた。だから荷物多くなっちゃったのか。
「お茶菓子買ってきたんです。雅紀にお祖母ちゃんが甘いもの好きだって聞いたんで、一緒に食べようかと思って」
「ありがとぉ、でも気ぃ使わなくても良かったのにぃ…みんなが来てくれたことが最高のお土産だぁ」
お祖母ちゃんが嬉しそうに笑った。あまりにも嬉しそうな笑顔だったから来て良かったって心からそう思えた。