第23章 What is your dream ? #6
「それにしても翔さん、荷物多くね?」
「え?そう?必要な物しか持ってきてないけど」
「必要な物って着替えくらいだろ?」
「そうだけど、念のためって思ったら一組ずつ多くなっちゃった」
「ははっ、そりゃ増えるわ」
翔さんを愛しそうに見て笑う大野さん。
「あ、そろそろ時間だよ?切符買わなきゃ」
カズが時計を見てみんなに声を掛ける。
「ほんとだ、急ごう」
雅紀の声でみんながバタバタと歩き出した。
出逢って間もない仲間たちだけど、楽しい合宿になりそうだ。
雅紀のお祖母ちゃんの住む町に着いた。駅は小さいし人も居ない。山は目の前に見えるし空気も澄んでる…田舎と言う言葉がしっくりくる最高の景色。
雅紀のお祖母ちゃんの家までバスもあると言うが本数が少ない。今だと1時間は待つと言うから俺たちは歩くことにした。歩いても1時間は掛からず着くそうだ。
「気持ちいいねぇ」
のどかな田舎道…隣を歩くカズが深く息を吸った。
「だな、こんな所歩くの俺初めてかも」
「僕も…」
新緑の中、僅かな風に吹かれ気持ち良さそうに目を細めるカズはキラキラと輝いて見えた。
最後尾を歩く俺とカズ…俺はカズの手を捉え指を絡ませ握った。カズは俺の事を見上げはにかむと何も言わずに俺の手を握り返してくれた。
カズは俺の事どう思ってるの?『よくわからない』って言ってたけど少しは考えてくれた?
前を歩くふたりに影響されてなのか、俺は以前に増してカズのこと自分のモノにしたいよ…